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日記やら感想やら。

【感想】パンドラの鐘

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日時:2021/4/17 13:00開演

会場:東京芸術劇場シアターイース

上演時間:110分

公演詳細:パンドラの鐘 東京芸術劇場

 

 

遺跡の発掘現場と、そこで発掘された古代の物語がいったりきたりする話です(あらすじの紹介が雑すぎる)。未見・未読の人には物語の中でハッとして欲しい…。上のリンク先に書いてあるけれど。笑

以下の感想を要約すると「not for meだった」なので、それでも大丈夫な人だけ続きをどうぞ。いつものごとく感想だけ書いてるのであらすじの説明はないけどネタバレしてます。あと批評じゃなくて感想なので感覚で書いてます。

 

緊急事態宣言の期間中芸劇が閉まるので4/24が東京楽となってしまって、その中で「つまんなかった」って感想上げるの申し訳ない……でもわたしが見た回はつまんなかったんだ……(泣)。

 

 

 

わたしはこの戯曲が過去読んだ中で一番好きな戯曲なのですが、思い入れの強さが仇となったのか、こんな退屈な話だったかな?という印象でした。戯曲読んだ時ほど感動がない…。テンポが少し遅いのと、スケールが想像していたよりも小さかったのがそう思わせた要因だったでしょうか(セットがシンプルなのとスケールは別の話)。緊張感がないわけではなく、張り詰めているでもなく、まあまあほどよくあって、そしてテンポがわずかにゆっくり。う〜ん、これは、たしかに寝てしまうよね……と後半寝ている人が複数人視界に入ったのを見て思いました。メリハリがないというか、なんというか。最前列とか二列目とかの人を複数人寝かしつけちゃうのはまずいと思いますよ…。

多分戯曲を知らなければ、戯曲そのものが面白いのでこの舞台も面白いと思います。さらっとTwitterの感想を検索した感じ、そう。

これ、観たのが幕開いてすぐだったのもいけなかったのかもしれません。本当はあと一週間遅い日のチケットを取ろうと思ってたんですが、間違えてこの日を買っちゃったんですよね。慣れないプレイガイドの先着で焦ってしまった。よく確認しなければ…。

 

さて。今回は戯曲と異なり、タマキとヒメ女、オズとミズヲも一人二役でした。戯曲だと一人二役なのは四人なんですが、今回はポスターに載ってる六人全員が二役演じていました。ピンカートン未亡人は戯曲だとヒイバアじゃなくて別の役やってるんですが。コロナ禍だからキャストを減らしたのか、それともそうでなくともこのアレンジだったのか、どっちなんでしょうかね。人数減らすためかなぁと思ってしまいました。タマキとヒメ女を同じ役者がやる意味をあまり見いだせなくて。鐘の秘密を知っているのが二人だけだから?それとも恋の相手だから?う〜ん。結構ぬるっと役がチェンジするので、そうなると、≒なのかな?と思う気持ちも出てくるんだけど、なんでタマキ…?とやはり思う。でも、このなんでタマキ…?は戯曲を知らなかったらそうは思わないのかもしれません。タマキ→オズ、ヒメ女→ミズヲの気持ちはイコールになり得ないので、そこを同じ人にやらせる気持ち悪さが最初から生まれてしまいました。

 

印象的だったのはレッドカーペットのように敷かれた服と死体を踏みながら階段をのぼるヒメ女のシーンと、ドレミを歌うヒメ女のシーンでした。ドレミファソラシドの音色が引き寄せられるような響きでよかったです。門脇さん、タマキの時は特段惹かれないけれどヒメ女の時は視線を持っていかれますね。戯曲読んでたときはあんまりタマキについて考えてなかったけど、わたしはタマキのことが嫌いなんだな(笑)。

 

終盤、ところどころト書きを読んでる演出はまあそれでもいいかなと思ったんですが、今回効果的だったかというといまいちわからず。そういえば、鐘の音ってありましたっけ…?実際鳴っていても鳴っていなくても正直どうでもよくて、終演後に頭の中に鐘の音が残っている状態になるのがわたしとしては望ましいんですけど、無かったなぁ。わたしは説明を聞きたくて芝居を観ているのではなくて、感じとりたくて芝居を観ているので。…これはわがままなのかなぁ。鐘の音聞きたかったなぁ〜〜!!あと最後の方の暗転したシーンはちゃんと見せて欲しかったです。

 

ハテナが大量に飛んだのは、謎に差し込まれるまぐわいシーンが……よくわからなくて……本当にわからなくて……誰かあの演出意図を教えてください……。男女のまぐわいが苦手なので意図が理解出来ないまま観ると顔が引き攣ってしまう……。じゃあ男男が大丈夫だったかっていうと今回のは駄目だったんですけど……。意味が……わからなくて……本当に……。どうしてああいう演出になったんだろう。いやまあ、性交描写が苦手なのは完全にわたしの問題ではあるんですけど。だって他の戯曲でも沢山あるし……。うぅ……でも今回は自慰見せられてるみたいでただただきもちわるかった……。(個人の感想だよ!)あれだなぁ、わたしがこの演出家と合わないのかもしれないですね!他の作品観てないんですけど。

 

未来の王の声が入った途端空気が変わってゾワッとしました。あそこで物語が急に怖くなる。

 

名前の由来がわかるシーンが一番胸が苦しかったです。それはわたしが過去に見聞きしたものを思い出すから。わたしは修学旅行で広島にも長崎にも行っていて、授業で映画を見たり、語り部の方が学校へ講演にきたりということがあって。一番鮮明に覚えているのは被爆者が描いた絵を見たときのことなんですが、小学校の一室に何点も絵が飾られて、授業でそれを見るんですよね。川の水を求めて息絶えていった多くの死体とか、人の体になにかうじゃうじゃと白っぽいものがくっついているのが描かれている絵を。子どもだったわたしはその時初めて蛆虫という存在を知り、それが人の身体に湧くことを知ったのでした。絵を見ているだけでも辛いのに、こんなに悍ましい光景を実際に見た人がいることが辛くて悲しくて……。このシーンはその記憶を思い出させるんです。だからつらくて、だから好きなシーンでもあります。ここ、本当に走馬灯のように記憶が見えるんだな、とわかっていい経験でした。いい経験?なんかその言い方は少し違うけど。一番好きな台詞は別にあるんですが、一番好きなシーンはここなんだなぁと改めて感じました。

 

最後タマキの好きな台詞が無かった…!(オズに見送られたあとの母娘のシーン無かったですよね…?ありました?わたしが記憶を失っているだけ?)戯曲を先に知ってるとシーンがある前提で構えてしまって駄目だなぁ。舞台→戯曲の流れがわたしはベストなのかもしれません。