あいしてるよ 愛してるよ。
Coccoの歌との出会いは2001年4月20日。そういえば友人が好きだと言っていたアーティストが今日がMステ出演最後と言っていたっけと思ってアルバムを借りて聴いたのが最初だった。その日は結局Mステも見ずにアルバムを延々と聴いていた。わたしは彼女の虜になった。授業中やテスト勉強中のノートの片隅に歌詞を書いて、家でも毎日口ずさんで、カラオケに行けば必ず歌った(その影響でわたしの歌声には長年ビブラートが無かった。笑)。特に、ひとりでどうしようもないかなしみやさみしさを抱えきれない日や、眠れない長い夜や、自他の境界線が無くなって溶けて消えてしまえばいいのにと思っていたころ、わたしは彼女の歌によく縋っていて、その結果彼女の歌はわたしの中で祈りや慰めになっていた。もちろんいつもそんな悲観に打ちひしがれていることはなく、穏やかな気分の時に聴く歌だってたくさんあった。他のアーティストにハマっても変わらず彼女の歌はわたしの生活のそばにあったし、いまも毎日飽きもせず口ずさんでいる。わたしの体内を彼女の歌が流れない日はない。
でも、ある時から新譜を聴かなくなってしまった。(どうしてかって、それはここに書くにはあまりにも自分勝手な、本人を無視した感情だから、ここには残さない。わたしはきっとこの先もずっとこのことを忘れないだろうから、書き残さない。いつもは忘れるのが怖くて書き残すけど、今回はその必要がない。)そこからわたしはずっと過去の歌たちと過ごしてきた。いつかまた道が交わることがあればいいなと思いながら、彼女が健やかに生きていてくれればそれでいいと願っていた。わたしの記憶は、映画「大丈夫であるように」で止まっていた。
そんなわたしだが、今年このツイートを見てライブへ行こうと思った。
25年目の決意の詳細です
— Cocco (@CoccoOfficialT) 2022年2月26日
4枚あります Coccoよりx pic.twitter.com/SvshlHEppq
顔を見たいから、というわけではないが、なんだか無性に恋しくなってしまったのだった。
先行予約でチケットを確保し、無事行けることに安堵した。当日はずっと落ち着かなかった。Coccoのライブは今回が初めてだった。全席指定だけれど、開演したら立つんだろうか?座ったままなんだろうか?と、そんなこともわからないままただ開演を待った。
暗転。灯されるステージに現れるCocco。色の変わる光の中、奏でられる音の中、楽しそうにひらひらと揺蕩い舞う姿。想像よりも、映像よりも、はるかに力強い歌声。いのちのこもったおと。遠い記憶にある映像の彼女はもっと壊れてしまいそうで不安になったものだったけど、目の前にあるのは、力強く、しなやかで、あまりにもうつくしく、まばゆく煌めくCoccoだった。きっとこのツアーでは過去曲はやらないんだろうなとなんとなく感じていて、それでもあえてなにもしらない状態で受け止めたくて、最近の曲を予習せずに行った。溢れる音を、溢れる熱をただ呆然と浴びて、動くこともできなくて、PROMの歌詞に打ちのめされて潮満ちぬのイントロが聴こえてきてようやく、撫でてくれる風のようなものに気づいて、あぁ、いまもむかしもこうしてわたしのこころのやわらかいばしょに寄り添ってくれるのだと、また一緒にいられるんだとわかったらもうそこから泪がとめどなく溢れて、拍手すらできなくなるほどずっと泣いていた。終演後、規制退場にあわせてちゃんと立ち上がれた自分を褒めてあげたい。ここに来るまでずいぶん時間がかかってしまったけれど、今回訪れて本当によかったと思った。でなければこの熱を知らずにこれからも生きていくところだった。歌い続けていてくれて本当にありがとう。わたしにはあなたの歌が必要なんだ。いままでも。これからも。それが改めてわかってよかった。
印象に残ったMCの話をする。
以前ライブ中にお腹が空いて、ドラムの椎野さんに「お腹がすいた」と言ったCocco。うんうんとうなずいてくれたものだからわかってくれたと思って満足していたのに、ライブが終わってから、「あれ何て言ってたの?」と椎野さんが聞いてきた。全然伝わってなくておかしかった。
「でもそれでもいいんだよね。こー(Cocco)は、(客席の)あなたのことを何も知らないし、何を考えているのかもわからないけど、目があったら何も言わずに『うんうん』って頷くだけでいいんだよね」
そのMCを聞いてたら、もう、滝、滝のような泪が流れて止まらなかった。わたしはその「うんうん」を、曲を通してずっと勝手に感じて生きてきたのだった。そうやって寄り添ってもらってきたのだった。だから、Coccoにそう言ってもらって、そのあと、曲中に客席を見ていろんな人に「うんうん」と頷くあいらしいCoccoを見て、20年分を抱きしめてもらえた気持ちになった。
これはあのころの自分へおくる日記。
2022.06.07.
Cocco Live Tour 2022 "プロム" @TDCホール
- White dress
- ひとひら
- コバルト
- True Lies
- アイドル
- ラブレター
- ままいろ
- 結い
- 恋い焦がれて
- 女一代宵の内
- PROM
- 潮満ちぬ
- 新曲
- 夜喪女
- Rockstar
- 光溢れ
- 7th floor
- 嵐ヶ丘
- L-O-V-E
- 星の子ら
余談
ツアーで演奏した曲が入っているアルバムを購入した。たまらなく琴線に触れる曲が何曲もあった。わたしが好きにならないはずがないやつ…!いまこういう曲作ってるって早く知りたかった!!!笑(わたしが勝手に聴くのをやめていただけなのでわたしが全部悪い)
また進行形でCoccoちゃんの曲を聴けるのが嬉しい。ほんとうに嬉しい。しあわせだ。長らく離れていてごめんね。歌い続けていてくれてありがとう。