ブログ名はいずれ考える。

日記やら感想やら。

あいしてるよ 愛してるよ。

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Coccoの歌との出会いは2001年4月20日。そういえば友人が好きだと言っていたアーティストが今日がMステ出演最後と言っていたっけと思ってアルバムを借りて聴いたのが最初だった。その日は結局Mステも見ずにアルバムを延々と聴いていた。わたしは彼女の虜になった。授業中やテスト勉強中のノートの片隅に歌詞を書いて、家でも毎日口ずさんで、カラオケに行けば必ず歌った(その影響でわたしの歌声には長年ビブラートが無かった。笑)。特に、ひとりでどうしようもないかなしみやさみしさを抱えきれない日や、眠れない長い夜や、自他の境界線が無くなって溶けて消えてしまえばいいのにと思っていたころ、わたしは彼女の歌によく縋っていて、その結果彼女の歌はわたしの中で祈りや慰めになっていた。もちろんいつもそんな悲観に打ちひしがれていることはなく、穏やかな気分の時に聴く歌だってたくさんあった。他のアーティストにハマっても変わらず彼女の歌はわたしの生活のそばにあったし、いまも毎日飽きもせず口ずさんでいる。わたしの体内を彼女の歌が流れない日はない。

でも、ある時から新譜を聴かなくなってしまった。(どうしてかって、それはここに書くにはあまりにも自分勝手な、本人を無視した感情だから、ここには残さない。わたしはきっとこの先もずっとこのことを忘れないだろうから、書き残さない。いつもは忘れるのが怖くて書き残すけど、今回はその必要がない。)そこからわたしはずっと過去の歌たちと過ごしてきた。いつかまた道が交わることがあればいいなと思いながら、彼女が健やかに生きていてくれればそれでいいと願っていた。わたしの記憶は、映画「大丈夫であるように」で止まっていた。

そんなわたしだが、今年このツイートを見てライブへ行こうと思った。

顔を見たいから、というわけではないが、なんだか無性に恋しくなってしまったのだった。

先行予約でチケットを確保し、無事行けることに安堵した。当日はずっと落ち着かなかった。Coccoのライブは今回が初めてだった。全席指定だけれど、開演したら立つんだろうか?座ったままなんだろうか?と、そんなこともわからないままただ開演を待った。



暗転。灯されるステージに現れるCocco。色の変わる光の中、奏でられる音の中、楽しそうにひらひらと揺蕩い舞う姿。想像よりも、映像よりも、はるかに力強い歌声。いのちのこもったおと。遠い記憶にある映像の彼女はもっと壊れてしまいそうで不安になったものだったけど、目の前にあるのは、力強く、しなやかで、あまりにもうつくしく、まばゆく煌めくCoccoだった。きっとこのツアーでは過去曲はやらないんだろうなとなんとなく感じていて、それでもあえてなにもしらない状態で受け止めたくて、最近の曲を予習せずに行った。溢れる音を、溢れる熱をただ呆然と浴びて、動くこともできなくて、PROMの歌詞に打ちのめされて潮満ちぬのイントロが聴こえてきてようやく、撫でてくれる風のようなものに気づいて、あぁ、いまもむかしもこうしてわたしのこころのやわらかいばしょに寄り添ってくれるのだと、また一緒にいられるんだとわかったらもうそこから泪がとめどなく溢れて、拍手すらできなくなるほどずっと泣いていた。終演後、規制退場にあわせてちゃんと立ち上がれた自分を褒めてあげたい。ここに来るまでずいぶん時間がかかってしまったけれど、今回訪れて本当によかったと思った。でなければこの熱を知らずにこれからも生きていくところだった。歌い続けていてくれて本当にありがとう。わたしにはあなたの歌が必要なんだ。いままでも。これからも。それが改めてわかってよかった。




印象に残ったMCの話をする。

以前ライブ中にお腹が空いて、ドラムの椎野さんに「お腹がすいた」と言ったCocco。うんうんとうなずいてくれたものだからわかってくれたと思って満足していたのに、ライブが終わってから、「あれ何て言ってたの?」と椎野さんが聞いてきた。全然伝わってなくておかしかった。

「でもそれでもいいんだよね。こー(Cocco)は、(客席の)あなたのことを何も知らないし、何を考えているのかもわからないけど、目があったら何も言わずに『うんうん』って頷くだけでいいんだよね」

そのMCを聞いてたら、もう、滝、滝のような泪が流れて止まらなかった。わたしはその「うんうん」を、曲を通してずっと勝手に感じて生きてきたのだった。そうやって寄り添ってもらってきたのだった。だから、Coccoにそう言ってもらって、そのあと、曲中に客席を見ていろんな人に「うんうん」と頷くあいらしいCoccoを見て、20年分を抱きしめてもらえた気持ちになった。




これはあのころの自分へおくる日記。

 


 

2022.06.07.
Cocco Live Tour 2022 "プロム" @TDCホール

  1. White dress
  2. ひとひら
  3. コバルト
  4. True Lies
  5. アイドル
  6. ラブレター
  7. ままいろ
  8. 結い
  9. 恋い焦がれて
  10. 女一代宵の内
  11. PROM
  12. 潮満ちぬ
  13. 新曲
  14. 夜喪女
  15. Rockstar
  16. 光溢れ
  17. 7th floor
  18. 嵐ヶ丘
  19. L-O-V-E
  20. 星の子ら

 

 

 

余談
ツアーで演奏した曲が入っているアルバムを購入した。たまらなく琴線に触れる曲が何曲もあった。わたしが好きにならないはずがないやつ…!いまこういう曲作ってるって早く知りたかった!!!笑(わたしが勝手に聴くのをやめていただけなのでわたしが全部悪い)
また進行形でCoccoちゃんの曲を聴けるのが嬉しい。ほんとうに嬉しい。しあわせだ。長らく離れていてごめんね。歌い続けていてくれてありがとう。

わたしの正露丸、わたしの糖衣A


せ、正露丸?糖衣A?突然薬の話でなんのこっちゃ?という方はまずこちらのnoteを読んでください。話はそれからだ!

\ドン⭐︎/ (←遊⭐︎戯⭐︎王のイメージで読んでほしい)

note.com

 

…ということで、
TPOに合わせた服=糖衣A
自分らしい服=正露丸
として話を進めていきます。


糖衣A!!!めっちゃくちゃ難しい!!!
モテに興味ない&トレンドに興味ない&好きな服しか着たくない&通勤の指定はオフィスカジュアル(好きじゃない服)&っていうかオフィスカジュアルって何?
というフルコンボだドン★状態になったわたし、社会人になってから糖衣Aが選べず苦しめられてきました。
これが糖衣Aじゃい!!と思って地味な服を着て行っても
「この中(3桁人以上)で一番派手な服着てるね」
「原宿系っていうか…ビジュアル系好きなの?」
と、全然糖衣Aになっていなかったわたし。滲み出るバンギャル成分。
友人主催のいろんな人が集まる初めまして〜の集まりで浮きたくなくて、これならそんなに浮かないかも!と綺麗めワンピースで行ったものの、あとで集合写真を見たらわたしだけ別世界の住人だったこともありました。
そもそも世間的には全然「綺麗め」ワンピースじゃなかったんですよね、そのお洋服。定義付けから世間とずれているんですよね。
母親と一緒に黒無地ワンピースで観光していたら「さっきからすれ違う人にすっごい見られる…(訳:あんたの格好が目立つ)」と言われたこともありました。黒無地!!ワンピースで!!何故!!!?

う〜〜〜ん、糖衣A、めちゃくちゃ難しい。

悩みすぎて思考停止して超どうでもいい服で日々を過ごすも、そんな日々から脱却したくて泣きついた先が自問自答ファッション講座でした。
そのときの話は以下に書いてありますが、ご覧にならなくても大丈夫です!
読み返すのが恥ずかしくて何を書いたかあんまり覚えてないので、この先の発言ともし矛盾があっても過去は過去!今が最新だぜ!ってことでよろしくお願いいたします。

普通の服が選べないので自問自答ファッション講座を受けたはなし。前編 - ブログ名はいずれ考える。
普通の服が選べないので自問自答ファッション講座を受けたはなし。後編 - ブログ名はいずれ考える。



講座を受講したガールズたちの中には正露丸部分を制服化したいという方もいらっしゃるかと思いますが、わたしは正露丸に限りなく薄い膜をした糖衣Aを制服化する方法を見つけるために受講しました。
他者を全く気にしない自分の好きなものはなんとなくわかっている。直感で選べる。ただその自分が好きなものたちをどうやって糖衣に変換したらいいのかわからなかったんですよね。
プライベートで出かける時の服は大好き&似合う&その時なりたいものになれる服をたくさん持っていて、そこは受講して一年が経過した今も制服化する必要を感じていません。これらの服がわたしの正露丸部分だと思っていました。

そうして、制服化について考えながら過ごす中で、最初に紹介したあきやさんのnoteを読んだらなんだか不思議なことに気がついたんです。


わたしの糖衣A服
例:役者のプライベートっぽいコーデ(制服案①)などの一般的に浮かない服
  メイクはファンデ+アイブロウだけでもオッケー。眼鏡も可。

わたしの正露丸
例:物語に出てきそうなクラシカルな少年のような服(セーラー襟/半ズボン/サスペンダー/靴下留め等)
  ゴスロリ系ファッションブランドと同じフロアに並んでいるようなメルヘンなワンピース
  ダークでかっこいいお姉さんなワンピース
  オーバーサイズのフーディ(ガラ悪くチュッパ舐めてそうな感じの)(え…?)
  メイク必須・要コンタクト


…おや?
キャラクター性が強くて衣装っぽい(役を纏う)のが正露丸
役から離れたプライベートっぽい(役を纏わない、デフォルト、自然な)のが糖衣Aって、
なんだか纏う纏わないが逆転していないか? と。


よくよく己を振りかえると
・子どものときから好きなシーンをひとりでよく真似している
・日常会話でも突然台詞口調になったり、何かの台詞を言ったり、作詞作曲わたしの歌を無意識に歌ってひとりミュージカル状態になっている(こう書くとめちゃくちゃ鬱陶しい人間だ…!笑)
・一人称が昔から日常的に複数ある(「わたし」は公的な一人称として大人になってから無理やり変えたもの)
・おめかしする理由は、TPOを重視してではなく、その世界観に寄せたいから(それなので衣装っぽくなる)
・推しになりたくて、推しをイメージするものを身につけたりする
・その日の気分やその時影響を受けているものによって、おんなのこっぽくしたり少年っぽくしたり格好よくしたりちょっとガラ悪くしたり雰囲気を変えたい
・その結果、いつも正露丸で会っている人たちでも「誰だかわからなかった」と言われることがたまにある
・好きな役者のタイプは、役者本人に役が溶け込んでいくタイプではなく、役によって印象が全く変わるタイプ(「これもこの人が演じてたの!?」という人)

…ということから、好きに演じる自由があるときのわたしが正露丸のわたしで、
好きに演じたいわたしを封じた、社会性を重視したときが糖衣Aのわたしなのかな?と思いました。
例えば社会性ある人間を華麗に演じれば楽なんでしょうが、社会人も年相応にイメージされる大人もなりたいわたしではないので、演じたくない(笑)。かと言って社会性を無視するのは良心が咎めるので、なんとなく無理して服を選んでは正露丸が顕になりすぎたり、逆に分厚い糖衣Aになってしまって困っていたのだと思います。
いままで「普段どういう服着てますか?」という質問によく困っていたんですが、わたしは「なりたい」がたくさんあって、それは時期によっても違うから、正露丸服がひとつの方向に纏まりきらないのは仕方がないことなのかもしれません。だから正露丸服は制服化する必要ないと思っているのかも…!
「なりたい」の最終目標はひとつでしょ?と考えていたけれど、別に無理して表現をひとつに絞らなくてもいいのかも。まだここは上手く言語化できないけれど、根っこが同じであれば表現は分岐してもかまわないというか。
「演じる」って、自分で自覚している以上に息をするようにやっていて(猫をかぶるとか性格を変えるということではなく、着る服によって歩幅も歩く速度も立ち姿も表情も多少変わるということ)、「自然」でいようと、他人から見られることを意識する時の方が労力が必要なんだと思います。現状。

…とは言っても、何も演じてない時間はもちろんどっちにもありますけどね。
(多分もっともフリーダムな時間が多いのは完全プライベートのパジャマ着てる時なんだと思う……)



とまあ、社会性を重視すると、逆になにも役を纏っていないようになるって不思議だな〜!という気づきでした。
……なんだか文字にしたら「それはそうじゃん!?」てセルフツッコミ入れたくなってきました……。(っていうか…言いたいこと伝わったかな…!?汗)
いやでもせっかくだからすぐ忘れる未来のわたしのために残しておきます…!

もしかしたらまた暫くしたら考えがもっとまとまるのかもしれませんが、一旦今回はここまで!では!

2022年4月5月観たものアレコレ

Twitterではちょこちょこ書いていたけど、個別記事を書かないだろうなというものをまとめてみる。

 

 

宝石展

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人、多ッッッ!!!多過ぎて第2章まるごと飛ばしました。わたしが一番見たかったのって入ってすぐのゾーンの原石ゾーンだったんですけど永遠に空かないので遠巻きに見ました。係員さんが順路決まっていないので空いているところからどうぞって言ってましたけど永遠に空きませんでしたね……。会場は広いけど結局見るものが小さいんだから、もうちょっと入場人数絞った方がよかったのでは?と思います。後半の写真撮影禁止ゾーンは空いてて良かったですね。
宝石ってあんまり興味ないんだよなとは薄々わかっていたのですが、原石?鉱石?とにかく綺麗にカットされる前の状態が好きなんだということが認識できて良かったです。緑系のフローライト、好きだ…。ネックレスは昔デザフェスで購入したものを持っているので今度は指輪が欲しい。

artexhibition.jp撮影禁止ゾーンにあったこの↑ピンクトパーズとアクアマリンのパリュールが本当に美しかった……。この前を何往復したかわからない。

 

ポケモン化石展

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化石系や古代生物系のポケモンと、それに近い現実の生き物たちを並べて展示していて面白かった!わたしはここ最近ポケモンをやり始めたので展示されている中には知らないポケモンもいて、展示物がポケモンなのかリアルにいた生き物の模型なのかわからなくなるときも(笑)。レジェンドアルセウスで一番のお気に入りだったトリデプスと一緒に写真を撮ってはしゃぐなどしました。

 

花と将軍

https://www.netflix.com/jp/title/81222133
2017年放送の中国ドラマ。1話約45分×60話です。
生き閻魔と恐れられるほど強い大将軍が実は男装した女性で、遊び人で皇族の美しい男と結婚させられるところから始まる物語。ラブコメ&史劇もの。最初の方の過剰演出が癖になる感じ。2人がちゃんと夫婦になっていく過程が楽しいです。大将軍モテモテで笑うし最初はなんかこいつ好きになれないな…と思っていた群王(旦那)がかわいく見えてきます。途中からシリアスまじりになって、ちょ〜〜〜〜〜〜嫌いな大王が結構な時間出てくるあたりが結構気持ち悪くてしんどいんですが、大王が出てくるあたりに来たときにはもう続きが気になって早く全部見たい!という気持ちになるのでがんばって大王の気持ち悪さを乗り切りましょう!!ちょっと時間経過がわかりにくいのと大王以外は気軽に楽しめると思います。

 

古川雄大 The Greatest Concert vol.1 -collection of musicals-

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出会いはテニミュ。そのうち彼は帝劇に立ちそうだな、と思って、そこから暫く離れてエリザベートで再会。そしてミュージカル黒執事でどっぷり好きになりました。
ミュージカルナンバーのコンサート…?絶対、生執事(ミュージカル黒執事のこと)曲やるでしょ!!やらないわけないよね!!?と思いチケット取って行ってきました。生執事、わたしが唯一遠征したことあるお芝居で…思い入れめっちゃあるんですよ…!生執事3作からそれぞれ1曲ずつ歌ってくれてありがとう〜〜〜!!(感涙)
ちなみに行ったのはシュガー(佐藤隆紀)ゲスト回です。レミゼ、希望のチケット取れなくて(組み合わせによっては観たい回が1回しかなかったりするんですよね…)観られなかったのでシュガーのバルジャン聴けて嬉しかった…!!そしてシュガー回行ったら我慢できなくて終演後に会場で追加チケット買いました(笑)。メドレーとしてだったけどヘビーレインも歌ってくれて感謝しかない。まさか2022年に聴けるとは…!!
いやはや、あらためて、努力が実力になっているのがわかって嬉しいな〜。これからも応援してます。

 

ロビー・ヒーロー

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新国立劇場のシリーズ「声 議論,正論,極論,批判,対話...の物語」第2弾。高層マンションのロビーで繰り広げられる4人の会話劇。果たして個人の思うそれぞれの正義が、正論が、万人にとって等しくそうであるのか、格差や差別などがある中でそれを貫き通したとき、自分を含め万人に良い結果となるのか。……という話なのかなと受け取りました。登場人物4人とも良い面も悪い面もあって、人は誰かの前では善人だし別の誰かの前では悪人にもなりえるのだというのはわかるのだけれど、ど〜〜〜しても「え、しんじらんない、それ今ここで言う!?」とか、そういう気持ちがちらほら湧き上がってしまい、いまいち話に没入できなかったかなぁと思ったので個別記事ではなくここに書きました。セットは結構好きでした。舞台が回転してマンションのロビーと外が手前に来たり奥へ行ったりという動きのセット。
差別が前提にある状態で役者はしゃべっていても我々観客には最初その前提が提供されていないことになるので、黒人役をそうでない人が演じるときの見た目のギャップがどうしても難しいなと思った。ひとつのセリフでそうだとわかるのだけれど、そのセリフの前まで何故あんなに必死なのかをこちらがわかってあげられない、というか。ポスターを見ればわかるんですけどね…。

 

名探偵コナン ハロウィンの花嫁

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公開前に発表された首輪姿見て正気でいられなくなった。零くん格好良すぎてキャアアとなり同期の前ではかわいさもあってギャァアとなり掌底怖くてちょっと泣いた。とりあえず零くんが格好良くてわたしのIQは2になった。コナン劇場版のアクション系シーンは動画を食い入るように観てしまう。ほんとわくわくして好きだな〜

【感想】セールスマンの死

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日時:2022/4/23 13:00開演
会場:PARCO劇場
上演時間:2時間40分(休憩20分含む)
公演詳細:セールスマンの死 | PARCO STAGE -パルコステージ-

 

初めてのPARCO劇場!通路よりも後ろの席でしたが、傾斜がかなりあって観やすいですね。幕間にテラスへ出られるのも良いと思います。終演後もテラスから階段降りて帰れます。わたしは終演直後に喧騒に包まれるのが好きではないので助かりました。

戯曲読むか、舞台を観るか、とにかく一度は触れておかなければと思っていた作品。今回ようやく観に行きました。

かつては敏腕セールスマンだったウィリー。63歳を過ぎて得意先が次々と引退し、自身のセールスの成績も思わしくない。妻リンダは献身的に支えてくれているものの、30歳を過ぎても自立できない2人の息子とは関係がよろしくない。過去の良き記憶と苦い現在が交錯して物語は進んでいく。固定のセットはほとんどなく、家の中やかつての庭などは可動式のセットになっていて、ゆっくりと彼のまわりを動きながら現れたり消えたりするその様が、ウィリーの過去と現在を行き来する脳内のようで良かったです。ウィリー役の段田さん、恐らく今回初めて観たと思うんですが、過去と現在の年齢の切り替えの自然さとか、声の響き、台詞の聞き取りやすさ・理解しやすさ等、流石ベテラン…!でした。

以下ネタバレです。結末の話もしてます。

妻や自慢の息子に尊敬される良き父親だったウィリー。家族の眩しい会話から、父親も息子たちも物事を誇張して自慢しているんだろうなということが見ていてわかるものの、あの家庭で育ってきたらああなってしまって弱みを見せられないんだろうなというのもわかる。わたしにとっては窮屈な家庭で、誰の感情にも寄り添えなくて、見ていて苦しかったです。夢見ていた幸せには現状はほど遠く、夢の分だけ自らを苦しめている。資本主義社会のお金・成功に縛られた夢ってなんだろうな……。身の丈にあった夢をとは思わないけれど、現実を直視できないで夢を見るのはまた別物だよな、と思います。現実が刻々と変わっていく中で、いつまでも現実の延長線上になりえない夢を見ていてもしょうがない。そして、過去の夢ばかり見ていても生きられない。
終盤に、父さんは特別なひとりじゃなくてひと束いくらの人間なんだよ、というような長男のセリフがあったんですが、これは働く前に見ていてもあまりぴんと来ないセリフだったろうなと思います。いまは会社員なので(笑)。

長男役の福士さん良かったです。長男、誰だろう気になる……と思いながら観ていたんですが、カーテンコールで手前に出てきてやっと顔が見えてわかりました。キャスト確認しないで芝居を観に行くので、だいたい終演後に気になった人の名前をチェックします(チケット取る時は確認しても観るころには一旦記憶から消えている)。スリルミーで観たときよりもさらに良かったなと思いました。福士さん、結構好きなのかもしれません。過去作、何か配信とかで見れたりしないかな。
最後のウィリーとのシーンは胸にくるものがありました。彼は10代後半の頃に、尊敬していた父親の不貞を知りそこから父親と不仲が続いていたのですが、最後に彼の気持ちが伝わったから、ウィリーの迷いがなくなって行動に移すのが、どうしようもなくていいですよね。いやよくないんですけと。なんと言うのかな、そうなっちゃうよなぁと思わずにはいられなかった。そこで止める綺麗な夢はこの物語に残されていなかったように思う。生きていてこそではないのかとは思います。でもウィリーを見ているとその結末は無かった。絡まった糸を解く作業ができたと思ったらウィリーはこの世を去ってしまって、遺された家族の気持ちははかりしれない。最後、家族が彼の不在を知る前に幕が下りるのがとても良かった。

固定のセットがほとんどないなか、初めから終わりまでずっと舞台中央に佇む黄色い冷蔵庫。タイトルとこの冷蔵庫で物語の結末は想像出来るのですが、じっとその時を待っている、というか、ずっとその影がちらついたまま物語が進行しているように感じました。見下ろす形で舞台を観ていたからかもしれませんが、誰かの感情に寄り添って観るのではなく、定点観察しているような感覚で、1人の人生が終わりへと向かっていくのを、記録として眺めているというか……。記憶のなかのウィリーの兄も、その存在がだんだんと死神のように感じられて、避けようのない終わりがじっとり湿度を持ってまとわりついているかのようでした。終わりの余韻がとても良かった。しずかに、そっと、ずしりと、その重さがこころの中心にのしかかるような。観終わったあともう少し鬱々とするのかと思っていたのだけど、そうではなく、ただ重しが残っていて良い余韻でした。



ところでバーナード(長男の友人)がゆ〜っくりと自転車を漕ぐのを見て上手いな…と思ったのはわたしだけではないはず。笑

読書記録 2022年3月

え…待って!?いま6月!? 今年の目標は積読を減らすことだったんだけどなと思いつつまた漫画ばかりだった…! 薄々勘づいていましたが、わたしの場合、小説は紙で読む方が向いている。

 

 

3月購入したもの

  • YOUNG BAD EDUCATION
  • YOUNG GOOD BOYFRIEND
  • 肉食組曲 1〜2巻

偉いぞ!3月は新規積読ゼロです!!

 

3月読んだもの

北欧こじらせ日記 週末北欧部chika

www.sekaibunka.com

フィンランドが大好きで、いろいろ経た結果フィンランドで寿司職人になろうとしているchikaさん。もう何年もtwitterを拝見しています。この方の行動力とコミュ力に凄く憧れているんですよね!!ちょっとやそっとじゃ真似出来ない行動力よ…。あと人柄がすてき。北欧に興味ある人のほか、chikaさんの人柄が好きでフォローしたり本買ってる人も多いと思います。(このブログを寝かせている間にフィンランドへ移住されましたね…!)twitter.com

前回の本(マイフィンランドルーティーン100)はフィンランドについての本ですが、今回の本はchikaさんの生き方についての本です。人生の転機ごとのエピソードが少しずつ載っている感じなので、twitterを全部見てる人は既出のものが多いと思います。この本を読んでもっと細かいエピソードが知りたい!という人はtwitterやインスタもどうぞ!!
マイフィンランド〜が出た時もそうだったのでわかっていたはずなのですが、書店で予約するのを忘れ(初日に本屋行けばいっかと思っていたけど外出しない日だった……)、初日に殆どの書店で在庫がなくなっていたようなので大人しく電子書籍で購入しました。わかっていて何故過ちをおかしたのだ。

 

 

YOUNG BAD EDUCATION、YOUNG GOOD BOYFRIEND ダヨオ

(BL。以下リンクちょっとすけべなシーンあるから背後注意してね!!!お願いだから電車の中でクリックしないでね!!わたしは忠告しましたよ!!)

www.shodensha.co.jp

生徒×先生ものBL。近年は生徒に手ぇ出すものはわたしの倫理観がNGを出し続けていたんですが(卒業後に付き合うなら大丈夫)あらすじ読んで誘惑にまけたぁ〜〜〜〜〜!!!あぁあ〜〜〜〜〜!!!!!!!!水沢が好きだぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!
あらすじと1話試し読みがリンク先にあります。なんかもう水沢がかわいい。ネタバレになるからどこがとか言えないけど水沢がめちゃくちゃツボでした。顔もめっちゃ好きなんですわ。うぅ。酔っ払って生徒にちゅーする先生やっぱり倫理的にNG vs 先生のことからかってる水沢がかわいい がわたしの脳内でずっとバトっていた…。
YOUNG GOOD〜の方は続編です。続編のエピソードがどれも可愛くて、あとがきにあるとおり寝る前に読んでハッピー(ほくほく)という気持ちになりました。この日々があるなら先生の初っ端の過ちも許せるってもんよ(倫理観がこっちを見つめていることにかわりはないが……)。なんかもうお互いがお互いをかわいいなとずっと思っていることが尊い……(感涙)。映画のお誘いを断るシーンと、時計の話が特にすきです。この2人の年齢差が20歳もあるので、物語のずっと先の、先立たれたあとのことまで考え始めて一人勝手に泣きそうになってしまった。ずっとなるべく長く一緒にしあわせでいてくれ。はあぁ。もっとエピソード読みたい。(単話の番外編も買いました)

 

 

肉食組曲 1〜2巻 ダヨオ

www.b-boy.jp

仲良しゲイ3人のそれぞれの恋の話。YOUNG〜が面白かったので他のも読んでみようと思って購入。平良(オタク。同人作家)の話が一番好き。表紙の三柴の話は割とさらっとしているけど、他の2人の話は少女漫画みたいなちょっとこしょばゆさもあります。ちょっと照れる。いやBLだから少女漫画っっちゃそうなんだけど伝われニュアンス!
なんか早起きしてコーヒー淹れちゃったっていいですね。

 

 

とまあ、3月は少なめ。あと並列して読んでいる本が3冊あるので、早く読み終えたいところ。

【感想】奇想のモード

感想日記はいつも【感想】+公演名、展示会名にしようと思っていたんですが、拙い日記すぎて検索に引っかかるのが恥ずかしくなってきました!!どうしよう!!いや、見栄はって難しい言葉使うのも違うのでありのまま書きますけど!!
感想文レポート小論文などのものをほぼスルーして生きてきて(大学に行ってないので卒論もない!)アウトプットの練習をしてこなかったので、いつまで経っても小学校低学年の感想文みたいになる。未来に期待しよう。がんばってほしい、わたし。

 

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奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム
会期:2022年1月15日〜2022年4月10日

www.teien-art-museum.ne.jp

シュルレアリスムってあんまりピンと来ないんですが、なんとなく気になって今月行きました。もっと珍紛漢紛かしらと思ってたんですが結構面白かった。以下特に印象に残ったものたち。

 

・ブローチ(19世紀/イギリス/玉虫、10金、ルビー)
玉虫そのままで驚く。虫苦手なんですがマジマジと見てしまった。虫を…アクセサリーに…??

 

・ジョージ・ニースのジャケット(1930年代/猿の毛)
毛が黒々としていた。こうやって見ると猿の毛結構長い。具体的にはどの猿なんだろう。あまり動物園で猿をまじまじと見てこなかったので新鮮だった。今度動物園へ行ったらちゃんと見よう。

 

Chapter 1 が「有機物への偏愛」というテーマで、いまは倫理的にNGとなってきている生き物を身に纏うファッションアイテムが展示されていました。ここですでにエネルギーを吸われ始めるわたし(美術品とか、なんか、見るのに結構消費しませんか…?)。「生き物だったもの」って、なんか、エネルギーあるんだよな。

 

・纏足靴(19世紀末-20世紀初頭/中国/絹、木綿、革、刺繍)
3足展示されていた。知識としてはあったけど実物を見るのは初めて。長さが10cmほどしかなく、あまりにも小さかった……。これが1000年近く行われていた習慣というのだから言葉にならない。どうしてこんなこと思いついたんだろうか。

 

エルザ・スキャパレッリの香水瓶「Sleeping」「Snuff」(1939年、1940年)
Shockingも展示されていたけど、この2つが好き。Sleepingはパッケージも可愛い。
↓以下に写真あり。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/80093953

 

エルザ・スキャパレッリのイヴニング・ケープ(1938年/絹ベルベット、金糸、シークイン、ビーズ)

artsandculture.google.com

google、こんなページがあるの知らなかった!
馬車に乗ったアポロンの柄のケープ。シークインとはなんぞやと思って調べたら、スパンコールのことだそう。他にもイヴニングドレスなど数着展示されていた中で、これが一番好きだった。黒×金の組み合わせ好き。刺繍にかけた時間が想像つかず気が遠くなった。

 

・帽子飾り(1900年頃/鳥の剥製)
帽子に鳥を飾るのが流行ったころがあったそう。剥製というので生きている時の立体感そのままを想像していたら身体の途中で二つ折りにプレスされているように平らだった。この剥製は黒い鳥(名前何…?)で、尾羽が黒なんだけど青だったり緑だったりの艶めきがあって美しかった。いろんな角度から眺めるほど、この羽の美しさに一番興奮した。

 

他にはHarper's BAZAARやVOGUEの表紙や、ヴィヴィアン、マルタン・マルジェラ、ドルガバ、帯留、花魁が描かれている絵などがありました。昔のフランスの服飾についてなどの本もあって、ミュージカル「マリー・アントワネット」の衣装を思い出しながら見ました。アンサンブルさんで頭に船載せてる方がいらしたんですが、あれ、想像のものじゃなかったんですね…!

 

新館は近年の作品が飾られていました。写真撮影可だったので、気に入ったものを写真に残しておきました。羊の靴が特にお気に入り。欲しい。

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あまり美術館行かない人はわかってもらえると思うんですが、どうやって見たらいいのかわからないものってありませんか?特に惹かれないものは「ふ〜〜〜ん(よくわかんないや…)」とさらっと通りすぎてしまうんですが、もうちょっと楽しみ方を知りたい。どうしたら……、いや、それでもいいのか……?難しく考えすぎ?やっぱりシュルレアリズムってあんまりピンと来ないな。

 

 

今回初めての東京都庭園美術館でした。旧朝香宮邸である本館は写真撮影禁止で残念だなと思っていたら毎年建物公開展やってるんですね。こちらは写真撮影可とのこと。タイミングが合えばまた行こうかな。八角形の室内にドーム型の天井の書斎が特に好きだったな〜。子供時代は読書が趣味だったので、書斎って憧れます。

www.teien-art-museum.ne.jp

読書記録 2022年2月

 

2月購入したもの


積読があるので買わないぞと思っていたけれど、どうしても欲しいものはいつだって出るので購入(そして増える積読)。
わたしの人生においていままでに四度ほど長野まゆみブームが訪れているのですが(中二、高校、専門、大人になってから一度)、あまり著者については関心を持ってこなかったなと思ったので、気になって偏愛耽美作品集を買ってみました。著者について関心を持たないのは長野まゆみに限らずで、文学にしろ音楽にしろ、作者が影響を受けた作品などを辿っていくとキリがないなと思って、あまり調べないタイプ。

悲劇喜劇は戯曲目当てで買ったんですが、違うところから読み始めました。俳優座今度観に行ってみようかな〜。たぶん2006年の罪と罰観たっきりなんですよね。研究所公演は何回か観に行ったけども。

2月読んだもの

ちはやふる 四十八巻 末次由紀

be-love.jp

ね、ねぇ、四十九巻で完結だって……!一巻の冒頭がクイーン戦の場面から始まるこの物語。ちはやのクイーン戦出場が決まった時から終わりが近づいてきたことは感じていましたが、いよいよ次巻で完結というのは本当に寂しい。この作品に限らず、当人の絶え間ない努力や周囲の人たちの支えなどがあって決戦の場に立つものですが、ちはやふるは支えてきた側や対戦相手の気持ちも丁寧に描かれているのでほとんど全てのキャラクターが愛おしい。最近のちはやふるはだいたいどの巻も泣いてしまうんですが、今回は大盤係がわかった瞬間泣いてしまいました。よ、よかった……!そう、あなたにやってほしかった!!全然四十八巻の感想書いてないですが、そのうち纏めて感想ブログ書けたらいいなあと思っているので、今はとりあえずこれだけ。あと第二三八首の扉絵がめっちゃ良いので四十七巻の終わりから続けて読んでください。
は〜。一度全部読み返してから最終巻を迎えたいと思います。

 

以上。2月は以上。え、これだけ??
何してたの?と自分でも思うのですが、空いている時間はほぼ全てPokémon LEGENDS アルセウスをやってました。あんまりゲームしないで生きてきたんですが何故か必死になってやってます……残りは2月末に更新されたサブクエスト4つ……多分これで全部のはず。

あと去年夏に一度全部見たはずの創造営2021(produce 101の中国版)、2周目見終えました。なぜ。やばい。どんどん増えるぜ積読

 

 

ところで天官賜福日本語版1巻の発売日発表されましたね!!

www.fwinc.jp魔道祖師の時は全4巻の発売日が同時発表でしたが、今回は1巻だけ。少し間が空くんでしょうかね…?台湾版5、6巻の発売日が延期?ということですが、今後日本語版にも影響あるんですかね。兎に角さっさと手元にある巻の魔翻訳を進めようと思います。先に原文のエッセンスを味わっておきたい…!わたし、ポケモンの手とめて。